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白い雪【名探偵コナン】

第23章 服部平次と吸血鬼館


「え?ニンニク料理が食べたい?」

彼女達が向かったのは厨房。2人はシェフにそう頼んでいた。
吸血鬼にはニンニク。とにかく、ニンニクの入った料理が食べたいのだ。

「ホラ、お姉さんも!」
「え、私も?私はいいよ〜……吸血鬼なんているわけないし」

迫弥さんが使ったトリックは謎だけど、彼が吸血鬼ってことはない。──多分。

「あれ?この冷蔵庫……開かへんやん!」

和葉ちゃんが大きな冷蔵庫の取っ手を引っ張った。

「あ、それはこの前旦那様が買い入れた冷蔵庫で……鍵がかかるようになってるんだ!」
「冷蔵庫に鍵を?何でですか?」

私は不思議になって訊いた。だがシェフは「さぁ……」と首を傾げた。

「今日来るお客様にお出しする上等な肉を入れておく用だって聞かされてたんだけど……。結局使わなかったんだよなぁ……」

半年前の事件の時、旦那様にアリバイがあると証言したのもこのシェフらしい。
あの日は起きてすぐにスープの味見をしたいから、直接シェフが持って来て起こせ、と言われていたらしい。
だから、ずっとあの棺桶を見張っていたわけではないのだが……

「でも、棺桶から出られてないのは確かだよ!」
「え?何でそんなことが分かるんですか?」
「棺桶の蓋を閉める前に言われたんだ……。最近、誰かに蓋を開けられて寝顔を見られているような気がするから……蓋の上に何か置いておいてくれないかって……」

だからシェフはゴマを3粒、蓋の上に置いておいたらしいが……起こしに来た時、それが同じ位置にあったらしい。それ即ち、棺桶の蓋が開いていないということ。

(ふぅーん……)

私はシェフの話を話半分に聞いていた。
ん?待てよ……確か、私達が蓋を開けた後……思わず手を離してしまった……。それで、蓋は閉まってしまい……再び開けようとしたらなかなか開かなかったような……。あれがもし、棺桶の中の“何か”を隠すための時間稼ぎだとしたら……?

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