第11章 揺れる警視庁1200万人の人質
──次の日。
私は毎日の日課である“彼”の見舞いを終え、バイト先であるポアロに向かっていた。
今頃……あの子達は……
私はきゅっと目を瞑った。そしてカッと目を開く。
「梓さん!?ごめんなさい私今日休む!」
『えっ、ちょっと瀬里奈さん!?』
戸惑いまくりの梓さんを放置して電話を切る。そして私は携帯の写真のフォルダを開いた。
そこには昨日、白鳥警部が佐藤刑事に渡していた予告状が写っている。
私はそれを見て少し考える。血塗られたといえば赤。
赤、赤──何かが引っかかる。赤といえばポストに消防車、パトカーのサイレンに……
「そう……赤と言えば……!」
私はバッと振り向いた。そう──東都タワー!
血塗られた……登る……鋼のバッターボックス……そうか!
「……東都タワーのエレベーター!」
私は走り出した。途中でタクシーを拾って、東都タワーまで乗せてもらう。
金を払う時間も惜しく、転げ落ちるようにタクシーを降りる。
「えっ、哀ちゃん!?歩美ちゃんに元太君、光彦君も!?」
「……瀬里奈さん!?」
「瀬里奈お姉さん!?」
「みんな!コナン君は!?」
私が切羽詰まったように訊くと、哀ちゃんが少し目を伏せた。その仕草で何か嫌な話だと分かる。
「……江戸川君なら……。高木刑事と一緒に……
エレベーターの中に閉じ込められてるわ……」
「!!?」