第11章 揺れる警視庁1200万人の人質
「そのFAXが、前に私たちが関わった事件の時の物とよく似ててね!だから私達捜査一課も動いてるのよ!でも私達、その犯人に顔を知られちゃってるから、一応変装して捜査してたってわけ!」
そう言うと佐藤刑事はニコッと笑った。
「まぁどーせ優勝を妬んだ誰かの質の悪い悪戯だと思うんだけどね……」
そう言うと、話題は佐藤刑事と高木刑事のデートにすり替わる。どうやら2人は次の日曜に最近出来たトロピカルマリンランドにデートに行くらしい。
「はー、公認のカップルってのも大変なんですねぇ〜」
「ちょっと瀬里奈ちゃん!感心してないで助けてよ!」
と、由美さんが対向車線を見て、「あら……」と声を上げた。
「噂の彼のご到着みたいよ……」
「え?」
由美さんのからかい声に、佐藤刑事は焦ったように車に駆け寄った。
だが、車から降りてきたのは──
ぐしゃぐしゃの髪の毛にサングラスをかけた男だった。
その場にいた刑事達3人は固まる。
私は話に聞いていた“彼”の風貌に、高木刑事がよく似ていることに驚きを感じた。
何で──高木刑事が……
“あの”松田刑事の格好をしているの……?