• テキストサイズ

境界線。【安室透夢小説】

第18章 二幕:はじまり


一体、なんなんだ。
沖矢昴。なぜあの男が。

「...安室さん?何か怒ってます?あ、もしかしてさっき会った沖矢さんって方と仲悪いとか?」

「......はは。そんなことないよ。」

「図星ですね。安室さん、いつもは隠すの上手なのに、今日は下手です。」

「...そう、かな?」

はぁ。イライラする。
くのえさんにいやな思いをさせたと思うし、それを助けたのがあの男だったことに酷く腹が立つ。

「安室さん?気にしないでくださいね。私、安室さんが駆けつけてくれて嬉しかったですから。」

「...でも、僕より先に沖矢が来ていただろ?」

「だって、あの人は知らない人ですから。沖矢さんに助けてもらっても、きっと安心はできないです。安室さんが走って来てくれるのを見つけたから、あんなにホッとしたんです。」






.......................。




「はぁ。くのえさんは優しいね。ありがとう。」




「...もぅ、何ですか?急に。ありがとうっていうのは私の方です。走って来てくれたのと、それから紅茶も。」


「ふふ。さて、これからどうします?」

「あ、結局、クレープ食べ損ねちゃいましたね。」


「あ、そういえば。」


「んー...また今度、付き合ってくださいね。」


「もちろんだよ。あ、じゃあ、バッティングセンターリベンジでもするかい?たしか、この辺だよね?」

「いいですね!この前行った時は、2回しか当たらなくて散々でしたから...今日こそリベンジです!」


「コーチは任せてね。」

かわいいなぁ。
人から声をかけられるというのもわかる。
こんなにかわいいんだ、きっと俺のいない間に誰かが攫っていってしまうかもしれない。それこそ、さっきの男みたいな輩や例の彼女の先輩とかに.....。
くのえさんが何処かにに行ってしまわないわないよう、誰も知らない箱に閉じ込めてしまいたい。という汚い感情が湧き出てくる。まぁ、実行はしないけど。
でも、なんでもいい。くのえさんを繋ぎ止めておけるような何かが欲しい。


「...安室さん?どうかしました?」

「なんでもない。行こうか?」
/ 93ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp