• テキストサイズ

夢クラシ

第1章 振り払う手


「……んっ」

朝。

07:00

(まだ寝れたのに…)

私は眠気眼をこする。

「あ…またか」

私は涙を流していた。

あの夢を見るといつもこうだ。

よく分からない男の子の言葉に泣いている。

私はベッドから降りて制服を着る。

鏡の前に立ってリボンを結んで、髪の毛を整える。

07:20

階段を降りて、朝食を食べる。

いつものようにお母さんにいってきますって言う。

あの夢をみても、何も日常は変わらない。

ただ、あの夢を見るたびに、

彼のネックレスの模様の記憶が鮮明になる。

一週間経てばぼやけてくる輪郭が更新される。

何も変わらない綺麗な銀のさくらのネックレス。

(まぁ、見たこともないし、関係ないけど)

07:45

いつもの電車に乗って学校へ行く。

ただ、この電車が「いつも」ではなかった。

いつも以上にギュウギュウに押し込まれ、

近くの女子高生たちは

「狭いんだけど、」

と舌打ちをする。

(じゃあ、乗ってくんなよ。)

こっちだって好きでギュウギュウになってるわけじゃない。

はぁ……はぁ……

耳元で嫌な吐息が聞こえる。

その息はどんどん大きくなる。

「……っ!!」

足元に嫌な感触が伝わる。

(……痴漢か…。)

正直、どうでもよかった。

足ぐらいならどうってことないし。

少し、我慢すればいいだけ。

「おい、あんた何してんの?」

後ろから、綺麗で透き通った声が聞こえた。

「痴漢、だろ?」

声の主は怒りの目を向け、痴漢野郎は消えて行く。

(お礼、言わなきゃ…)

「あの、ごめん…なさい。」

(あ、やべ、なんで謝ったんだろ…)

「別に、あんたが謝ることじゃないだろ。
それより、なんでさけばなかったんだよ。
気持ち悪かっただろ。」

(ほら、やっぱ言われた。)

「正直、どうでもよかったんだよね。足ぐらいなら、別になんとも無いなって思ってたし」

「ふーん。」

見るからに同じ高校生みたいな見た目で、
すごく大人っぽい雰囲気があって。

(夢の中の男の子とは全然違う…)

「あんた、山代高校だろ?送ってく。」

「えっ!?や、でも、」

「助けてまた痴漢にやられてもやだし。いいだろ?」

「……で、」

「はい、決定ー。」

「うっ…勝手に決めないでよ!」

「ははっ。あんたのその顔、結構好きかも」
/ 6ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp