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【HQ】君に好きだと言えたなら

第1章 キスから始まる恋の話(牛島若利×白布姉)


 仕事が終わり、電車に揺られ帰宅。仕事で疲れてるのに、十五分とはいえ、毎日満員電車っていうのは本当にしんどい。そして、駅を降りてから、家に着くまでのこの道が緩やかな登り坂なのも辛い。決算時期でいつもより忙しく、疲れも溜まってるせいか、家までのこの距離が少しだけ長く感じた。重い足取りでアパートの階段を上り、牛島君の家を通り過ぎようとすると、ガチャガチャと慌ただしい音がする。そして、開いた窓からは焦げ臭い匂い。私は大きな溜息をついて、牛島君の家のチャイムを鳴らした。ドアが開くと、牛島君を押しのけ、勝手に家へと上がった。キッチンを覗くと、今朝同様散々たる状態だった。全く料理が出来ないのに、料理をしようという心意気は立派だとは思うが、心意気だけではどうにもならないこともある。


「夕食、私も今からだし、家来る?」


 そう言ってまた強引に牛島君を連れ出した。
 テレビでも見といて。そう言ってリモコンを渡し、私はキッチンに向かった。エプロンをつけ、冷蔵庫を開ける。昨日も今日も買い物に行ってないから、冷蔵庫の中にはあまり食材がなかった。私自身疲れてるし、あんまり手の込んだものは作りたくない。そう思い、冷蔵庫から少ない材料を取り出し、調理を開始する。


「お待たせ。」


 そう言って食卓に料理を並べる。ハヤシライスとサラダ。ここで、お皿を出した時にハッとした。牛島君、今朝は和食がどうのとか言ってたけど、もしかして洋食あんまり好きじゃないのかな?確かに、見た目からして和食顔っぽい。いやいや、和食顔ってどんなだよ。と、心の中でツッコミを入れる。
 ハヤシライスを見つめる牛島君は、嬉しそうに見えたような気がした。


「苦手だったかな?」
「いや、好物だ。」


 そう言って笑ったように見えなくもない牛島君は、何だか少しだけ子供っぽくって可愛いな、って思った。


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