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【HQ】君に好きだと言えたなら

第2章 アルコールに押された背中(牛島若利×白布姉)


「なんだ鍵がないのか?」
「…みたい。」
「ならウチで寝ればいいだろう。」


 牛島君が女の子であれば、はたまた、告白される前であればその好意に甘えたかもしれない。


「奈緒子。」


 名前を呼ばれ牛島君を見上げれば、牛島君の顔が近くにあって、反射的に目を瞑った。牛島君だって男の子。こんな状況じゃ一夜の間違えがあったっておかしくない。お酒の力もあって、私はきっと雰囲気に飲まれてしまう。だって、私は牛島君の事が好きだから。


「うわあっ!」


 てっきりキスをされると思ったのに、牛島君に抱き抱えられ、そのままベッドに運ばれた。嘘、まって、でも、やっぱりこんな返事待たしてる状態でその先に進むのはやっぱり駄目だよ。


「う、牛島君待って!」
「布団は一組しかない。俺は向こうで寝るから、何かあったら呼んでくれ。」
「へ?」


 私をベッドに運んでくれた牛島君はそう言って私から離れようとする。一人これから起きるであろう淫らな行為を想像していた自分がたまらなく恥ずかしかった。牛島君は私に布団を被せ、部屋の電気を消しソファへ寝転んだ。暫くすると規則正しい寝息が聞こえてきた。一方私は緊張して逆に目が覚めてしまった。まだ酒も抜けないおぼつかない足取りで牛島君の寝るソファの方へ向かった。ソファで寝る牛島君。初めて見る牛島君の寝顔に心臓の音が早くなる。こんな夜中に突然やってきた酔っ払いの私を快く迎え入れてくれた優しい牛島君。上司との件は牛島君に助けられ、普段一緒に食事を取る短い時間も私のにとって大切な時間。私達には五歳の年の差がある。まだ大学生である牛島君はこれから色んな人と出逢い、輝かしい未来が待ってる。その可能性を私が狭めていい訳じゃない。でも、そんな年の差も忘れてしまいたいくらい、本当は牛島君が好き。


「牛島君、好きだよ。」


 寝ている牛島君に、普段言えない気持ちを小さく口にすると、牛島君に手を引っ張られ、そのまま牛島君の上に倒れた。

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