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【HQ】君に好きだと言えたなら

第2章 アルコールに押された背中(牛島若利×白布姉)


 東雲さんに相談した所で欲しかった言葉が貰えた訳ではなかった。まあ、端から欲しかった言葉を掛けてもらえるとは思ってなかったけど。ていうか、答えは自分の中で既に決まってるのに相談した所で意味はない。私がそれを口にする勇気があるかどうかの問題だ。
 東雲さんに相談してからまた進展のないまま日にちが過ぎた。牛島君があまりにも以前と変わらない態度過ぎて、あの日のことは夢だったんじゃないかと思うくらい。


「白布さん、今日呑みに行こうよ。」
「え?無理だよ牛島君待ってるし。」
「いいじゃんかたまには。別に彼氏な訳じゃないんだし、毎日そんな律儀にご飯作ってあげなくても。」
「いや、でも何も言ってないし。」
「電話してみたらいいじゃん。」


 そう言って、私の携帯をひょいっと取り上げた東雲さんは、何故私のロック番号を知ってるのか知らないが、ロックを外し、電話をかけ始めた。


「ちょっと!」
「あ、もしもし牛島君ですか?はじめまして、私白布さんの会社の同期の東雲っていうんですけど、今日は白布さん私と呑みに行くから夕食適当に済ませてくれる?」


 東雲さんから携帯を奪おうとするが、私より背が高く、モデルのようなスラッと長い手足にそれを阻まれ、携帯が手元に返ってきたのは、電話が終わってからだった。


「いいってさ。いいじゃん。たまには息抜きしたって。前はよく呑みに行ってたのに最近付き合い悪いよ。年下に夢中になる気持ちは分かるけど、友達も大切にしてよ。」


 少しだけ寂しそうな表情でそう言った東雲さんに返す言葉がなかった。確かに、牛島君がこっちに越してくる前はよく東雲さんと仕事帰りに呑みに行っていた。が、牛島君と食事を取るようになってから、仕事が終わったらすぐに帰らなきゃならないという意識があって、呑みの誘いを断っていた。


「じゃあ仕事終わったらロビーに集合ね。」


 お弁当を食べ終えた東雲さんはお弁当を包み、休憩室を出て行った。
 東雲さんの言う通りたまには羽を伸ばしてみてもいいかもしれない。もしかしたら牛島君だって、たまには一人でごはんを食べたいと思ってるかもしれない。


「よし、午後も頑張ろう。」

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