第7章 有終の美を貴女に 7
「...はぁ」
屋上の柵に体を預け、その場に座り込み溜息を漏らす。
反省と雑念が混ざり、何とも言えない感情に支配された頭を無理やり普段通りに戻す。
「......戻らなきゃ、だよね」
幸いにもテストや授業の点は悪い方ではない。
体調が悪く欠席した、とでも言えばきっと担任は信じるだろう。
(...さっさと戻って、いつも通りに過ごせばいい)
そう、いつも通りの日常に戻ればいい。
そつなく授業をこなし、放課後には何もせず家に帰り、そしてそのまま疲れを癒して眠りにつく。
そうだ、それが私のいつも通りの日常だ。
そう自分に言い聞かせて、教室へと戻ろうと立ち上がったその時。
───────艶のある長い髪が、見えた。