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人魚姫ストラテジー【HxH】【裏】

第16章 研究と私


――記憶を亡くした後の私へ。
私はきっと代償と共に消えるでしょう。
でも、どうかあなたは彼と結ばれてください。
幸せになってください。
たくさんの感情を知ってください。
たくさんの愛情を与え、受け取ってください。
さようなら。
お母様、ありがとうございました。
ごめんなさい。

ルルは全く違う名前を書いて、自分のサインを本にさらさらとインクを滑らせた。
たった一度だけ聞いた、彼の名前。
本がいきなり輝き、やがて自分のサインの空欄に文字が徐々に浮き出した。
「汝、人間的感情が欠如した相手と結ばれん。
汝、我に与えん代償は 声。」
「こ、え…。」
「あなた、誰の名前を書いたの!?」
怒り狂った母の声が聞こえた。
ルルが光に包まれ、会場は騒然となった。
「どういうことだ!うちの息子と結婚するという契約だったじゃないか!投資した金を返せ!!」
「わたくしだって存じません!
まさかアレがわたくしを裏切るなんて…!」
母の、最後の言葉は、そんな物だった。
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