第4章 【寿嶺二】人と付き合えるようになるまで。
女の子の後輩も多い僕は、ある相談を受けていた。
彼女はがシキが好きらしい。
シキとは、薔薇のこと。
僕より年上なのだけど、人当たりが良くて飲みに行くことも多くある、頼れる先輩だ。
この手の相談はよく受ける。
その度に僕は胸を痛めながら言う。
「シキは誰とも付き合えないと思うよ」
残酷だということも分かってる。でも、本当の事だ。シキは人と付き合わない。
過去に愛した人が目の前で自殺してしまったのを目の当たりにしてから、人と付き合うのを恐れている。
女の子だったから尚更。
自分はバイだと普通に言ってたけど、目の前でやられてしまえばショックも大きかっただろう。
アイドルになったのも、彼女との約束だったからって言ってたから。
そんな彼を僕は心の隅で想い、傍に居ながらまた人と付き合えるようになるのを待ってる。その"人"が僕であったらいいな、なんで願いながら。