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【R18】君は華より美しい(仮題)

第3章 ドキドキする理由


「ど、どんな人なの…?」
「琥珀色の瞳で、あたくしを睨んだの」
「…え?」
「あたくし、男の方に睨まれたのは初めてで…驚いてしまって…」
「ちょ、ちょっと待ってジョエル。睨まれた、と言ったわね?」
「……あ、いえ、その、例えばの話で…」
「例えばじゃないわよね、どう考えても」

 詳しく話して?とプレイラはにっこり笑った。






 ジョエルは一昨日の出来事をプレイラに伝えた。
 プレイラはうーん、とかあーん、とか言いながら考え込み、ついに口を開いた。

「――それで、私を呼んだのね?」
「……ええ…」

 ジョエルはあのパーティー出席者の中で騎士団の服を着た鈍色の髪を持つ者がいないかを侍女に確認していた。
 騎士団の者は数人来ていたが、鈍色の髪はただ一人。
 プレイラは立ち上がって頭を下げた。
 彼がジョエルを助けたのを見てはいたし、さらには『ほら!魅力的だったでしょう!』みたいなことまで言った気がする。
 けれど、まさかそんなことがあったなんて思いもしなかった。
 彼がプレイラの幼馴染みであることをジョエルは知ったから、自分はここに呼ばれたのだ、とプレイラは思った。

「ファンドレイの非礼、友人に代わってお詫びいたします」
「…え?」

 ぽかん、として立ち上がった自分を見るジョエル。
 プレイラはすぐにまた腰を下ろして、ジョエルの手を取った。

「怖かったでしょう。ファンドレイは普段から目つきが悪いのよ。決してジョエルを睨んだわけじゃないわ」

 ドキドキするのはジョエルが恋をしたんじゃなくて、怖かったからなのだろう。

(ファンドレイ…! 帰ったらお説教だわ!)

 プレイラが密かにそう思ったが、しかし。

「睨んだわけじゃ、ないの…?」
「ええ。多分、きっと、ジョエルに驚いたんだと思うわ」
「そう、なの…」

 何故だか目に見えてしょんぼりするジョエル。

「ど、どうしたの?」
「…あたくし、睨まれたと思って…そんな方は初めてで…何度も思い出してしまうの…。その度に胸が苦しくて…。でも、睨まれたわけではなかったのね…」

(う、うそ…)


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