Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第5章 なまリクII♡高齢者さま
まさか松岡さんが俺のことを、なんて…全く想像もしていなかった。
驚いて顔を上げると、すぐ傍に…いや、超至近距離に松岡さんの顔があって、
「うわっ…」
俺は思わず仰け反ると、ソファーからラグに転げ落ちた。
「んな驚く事かよ。大体、考えてもみろ、休みの日にわざわざ他所ん家のガキンチョの運動会行くか? キャンプや映画連れてくか?」
そ、そりゃそうだけど…
「全部お前ぇに惚れてっからだろうが…」
えっ、でも、それって…
「和をダシにした、ってこと?」
俺に近付くために?
「人聞きの悪い言い方すんなよ。ま、始めのうちは確かにそうだったが、途中からは和もノリノリで協力してくれてたんだから」
じゃなにか?
和もグルだったってこと…?
嘘でしょ〜
「なぁ、お前ぇもそろそろ自分の幸せ考えてもいいんじゃねぇか? ガキンチョの手も離れたことだし」
確かに小さかった和も、今では社会人として立派にやってる。
でもだからって俺はやっぱり和の親を辞めることは出来ない。
「松岡さん、俺…、松岡さんのこと好きです。多分、松岡さんと同じ意味で…。でも俺はやっぱり…」
いつまでも和のパパでいたいんだ。
「松岡さんの気持ちは嬉しいです。出来ることなら…って思うけど…、やっぱり俺の一番は、“和“なんです」
それだけはどうしたって譲れないんだ。
だから俺にもし恋人が出来てしまったら…
そう考えると、どうしても足を踏み出すことが出来ない。
「あんなぁ、お前ぇはバカか? ンなことこっちは百も承知だってんだよ。誰もお前ぇの“一番”になろうなんて思っちゃいねぇよ」
えっ…?
「心配すんな。お前ぇから和を取り上げようなんて、これっぽっちも思ってねぇから。言ったろ、お前ぇのガキは俺のガキでもあるってよ」
床から引き上げられた俺は、そのまま松岡さんの胸の中にすっぽりと収められた。