• テキストサイズ

Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】

第5章 なまリクII♡高齢者さま


和に夕食は潤くんと取るように伝え、俺は店の軒先で小さな箱を抱えて立っていた。

しっかりダウンまで着込んでいるとは言え、風が吹けば寒さに肩が竦む。

「寒っ…」

思わず口から零れた時だった。

通りの向から、一際目を引くスポーツカーが、近所迷惑もお構い無しの爆音を響かせながら、こちらに向かって走って来て、俺の目の前でピタリと停まった。

「おう、待たせたな」

運転席の窓が開き、顔を出したのは松岡さんで、

「寒ぃだろ、早く乗れ」

助手席を親指でクイッと刺すから、俺は挨拶もそこそこに、いそいそと車に乗り込んだ。

「車、新しくしたんですね?」

前乗ってたのは確か、大人数で乗れるワンボックスタイプの車だったのに。

「まあな。もうデカいのは必要ねぇからな」

そう…なんだ…

「因みに、助手席に人乗せんの、お前ぇが最初だ」

「えっ、お、俺…?」

彼女でもなく、俺…?
それはそれで嬉しいけど、ちょっと気が引けるな…

俺は膝の上に置いたケーキの箱を、キュッと抱え込んだ。

「あ、あの、今日はどこへ?」

そう言えば行き先聞いてない。

「ん? ああ、言ってなかったか?」

聞いてませんけど…ってか、聞こうとしたら一方的に電話切ったの松岡さんなんだけど…

結局俺は行き先を知らされることなく、ただ車に揺られ、車窓を眺めていた。
/ 628ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp