Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第10章 俺達のスペアキー
甘さと苦さを交互に楽しみながら食べ進めて行くと、ピ〇チュウはあっという間に見る影もなくなってしまう。
小さい頃は、この瞬間が嫌で、良くパパを困らせたりしたよな…、なんて昔のことをふと思い出す。
そしてとうとう最後の一口になった頃、潤が手にしていたフォークをテーブルに置いた。
俺はラッキーとばかりにフォークを最後の一欠片に突き刺した。
その時、ガリッとフォークの先が何かに当たるような音がして…
俺は何度かフォークを刺してはその感触を確かめながら、ケーキを崩して行った。
「えっ、コレ…」
そうして姿を現した金属の正体は、クリーム塗れになった鍵で、俺はその鍵を手のひらに載せると、ティッシュでクリームを綺麗に拭き取った。
「この部屋の合鍵。俺からのBirthdayプレゼントな?」
「嘘…、いいの?」
だって俺、潤よりパパを選んだのに…
「当たり前だろ? お前以外に、誰に合鍵なんか渡せんだよ」
潤の手が伸びてきて、俺の髪をまたクシャッと掻き混ぜる。
俺は潤にそうされるのが、いつの間にかパパの頭ポンポンよりも好きになっていることに気付いた。
「俺、待ってるから…。和也と一緒に暮らせるの、ずっと待ってる」
「うん…」
もう少しだけ…
あと少しだけ待ってて…?
そしたら俺…
決意をしたその時、潤のスマホがテーブルの上で震えた。
「パパさんからだ…」
えっ、どうして潤に?
俺のトコには何もないのに…
「なあ、おい…。俺ら、当分一緒に暮らせないかも…」
はあ?…どういうこと?
俺は潤からスマホを取り上げ、
『俺の可愛い息子の首にキスマークを付ける奴に息子は渡さん!』
文面を見て絶句した。
つか、キスマークって…?
もしかしてさっきの写真…?
「もぉーっ、潤っ!」
どうやら、俺達が一緒に暮らせるようになるまでには、まだまだ時間が必要なようです(笑)
💜おわり💛