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合同企画 青フェス‼(黒子のバスケ)

第3章 A DEER



桐皇学園高校の修学旅行は毎年秋に行われている。
今年の行き先は、海に浮かぶ赤い神社だった。

1555年、厳島の戦いではどれほどの海賊がこの海に船を浮かべていたのだろう。
毛利元就の策は見事的中し、下克上を成し遂げた。
彼はこの戦の勝利から中国地方を手中に収め戦国大名へとのし上がる。
そんな彼に愛されたというこの社は、この地は、どれだけの変遷をその目に焼き付けてきたのだろうか。


「ここって、あの鳥居とシカさんだけじゃなかったんだぁ」


絶景と劇的な歴史に魅せられたは、ここでお守りを買うのだと心に決める。

大鳥居の近くに建てられた看板を読み耽っていると先を行く友人に名を呼ばれた。
慌てて体を動かし出した瞬間。
肩に衝撃と痛みが走る。



「…ってーな!」
「ご、ごめんなさい!」


体をぶつけた相手は同じ学校の制服を纏っているのに、全く知らない同級生だった。
顔を覗くにも首を大きく傾ける程に背が高い。

「気をつけろ、ぼーっとしてると鹿に食われんぞ」

『オラオラ系男子』の彼は、眉間に皺が寄っていて、怖い。
が体を縮こませていると彼の隣にいた『可愛い系男子』がスミマセンと何度も謝ってくる。

「怪我してない?大ちゃん、謝りなよ!」

美人というのは誰の目にも止まるもので、彼女のことは知っていた。
違うクラスだけれど有名人の桃井さつきに話しかけられて緊張する。
『美女なのにバスケマニア』の彼女のおかげで、この人たちはバスケ部なのだと思った。
道理で背が高い。
自由行動でも一緒にいるんだから、仲が良い。

遠くからの名を呼ぶ友人の声が再度響いた。
行かなければ、置いていかれてしまう。

「こっちこそごめん。大丈夫だよ。じゃあ、私行くね…ひゃっ!」



友人の元へ駆け出そうとした私は足止めをされた。
クリッとしたまんまるお目々のシカさんが、スカートの裾を咥えている。



「…気をつけろって言ったろ」

『大ちゃん』と呼ばれた彼が、意地悪そうにニヤけている。
が鹿から必死で逃げる様子が可笑しかったようで、彼は涙ぐむ程に笑いを堪えていて、馬鹿にされて、ムッとした。
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