第64章 【番外編】聖夜祭
ふと、プレゼントをお渡しするのを忘れてしまったことを考えていた。
でも、身体はとても素直で、私はただひたすら与えられる快楽に震えるしかなかった。
翌朝目が覚めると、私の作ったケーキが熱で溶けてしまっていた。
ジェイドさんはそれを文句1つ言わないで、
「デコレーションが見れなくて残念ですが、凄く美味しいですよ。
腕をあげましたね。」
とにこにこ褒めてくれた。
それがあまりに嬉しくて泣きそうになる。
「ジェイドさん、私、昨日お渡し出来なかったんですが、プレゼントを用意していたんです…。」
もじもじとそれを渡す。
男性ものの、シンプルな懐中時計を用意した。
「時計、ですか?」
「はい、仕掛けがあって……。」
ネジを回しながらボタンを押すと、小さな収納がそこにあった。
「ジェイドさんが、他の人に取られるの、心配なので…。」
職人さんへお願いして、小さなメッセージを彫ってもらった。
「ルルさん……ありがとうございます…!」
ジェイドさんは、今回も照れた顔を私に見せてくれなかった。
「ジェイドさん…お顔、見たいです…。」
「ダメです。」
ぎゅっと長身が私に抱きついていて、私は残念ながら見ることが出来なかった。
「私の前だけで、照れて。」