第3章 長男✕教え子 木村芽衣
テストに向け、芽衣は精一杯努力をしたが、結果は11位。今までのテストと比べると格段に成績はアップしたが、優との約束には一歩届かなかった。もう少し頑張っていればと、思わずにはいられない悔しい結果となってしまった。
「先生…。頑張ったつもりだったんだけど、ダメでした…。」
そう優に報告すると芽衣は肩を落とした。別に優にご褒美として付き合って欲しいだとか無茶なお願いをするつもりは無かった。家庭教師がお休みの日に、優の時間を貰いたい。一緒に出掛けたい。ただ、それだけだったが、結果が伴わなかっただけにそれは夢で終わってしまった。
「確かに目標は達成出来なかったかもしれないけど、芽衣ちゃんは凄く頑張ってたと思う。」
優からの優しい励まし。いつもならその言葉が素直に喜べた芽衣だが、今回は喜べなかった。
「いつも頑張ってる芽衣ちゃんにご褒美あげたいって思ってるんだけど、ダメかな?」
「え?」
目標を達成出来なかった芽衣は優からのまさかの言葉に驚き、目を丸くした。
「でも…。」
「芽衣ちゃんいつも本当に頑張ってるし、俺がご褒美あげたいからっていう理由じゃダメかな?」
遠慮がちにそう声をかける優の言葉に芽衣は大きく首を横に振った。
「断られたらどうしようかと思った。実はね、もう準備してあるんだ。ご褒美。」
芽衣は目を輝かせ、優を見つめた。
「芽衣ちゃん、目、瞑ってくれる?」
芽衣は優に言われた通り目を瞑ると、唇に柔らかい感触がした。そこで芽衣は優にキスをされたのだと気付いた。