第3章 長男✕教え子 木村芽衣
「うん、正解。」
優は芽衣の頭を撫でると、芽衣は頬を赤らめた。
引っ込み思案で大人しい芽衣は人の顔色ばかり伺うような女の子だった。そんな芽衣が初めて好意を寄せたのは、有名大学の医学部に通う優だった。
教育熱心な母親に言われるがままに家庭教師をつけられ、最初こそ乗り気では無かったものの、優しく、人当たりのいい優に心惹かれるようになるまで差程時間は掛からなかった。
「芽衣ちゃんはホント呑み込みが早いな。」
「先生が教えるの上手いから…。」
大学生である優が高校生である自分を何とも思ってないであろうという事は分かっていたが、それでも優といる時間が増える程、家庭教師と教え子というだけの関係をもどかしく感じた。
「これなら次のテストはいい結果が期待出来そうだね。」
優は芽衣に優しく微笑みかけた。
「あの、先生…。」
「何?」
「もし、今度のテストで10位以内に入れたら、その…ご褒美、貰えませんか?」
内気な芽衣は勇気を振り絞り、そう言った。
今までの芽衣のテストの成績は30位代をキープしている状態で、10位以内に入れた事は一度も無い。
「いいよ。いつも頑張ってる芽衣ちゃんに俺もなんかご褒美あげたいし、一緒に頑張ろう。」
「はい…!」