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罪と罰【終わりのセラフ】

第18章 執着




優一郎
「!」


優ちゃんの顔が分かりやすく曇る。


優一郎
「…お前、人間だった頃は何者だったんだよ」

クローリー
「人間だった頃…か」


お兄ちゃんは天井を見上げて少しだけ考える素振りを見せた。


クローリー
「ずいぶん昔の話だからなぁ…」


色々思い出しているのか、少しだけ寂しそうな表情を浮かべたお兄ちゃん。


「人間の頃何をやっていたかだけ教えればいいと思うよ」

クローリー
「ああ、それだけでいいのか」


余りにも考え込んでしまっていたのでお兄ちゃんに助け舟を出す。
それを聞いたお兄ちゃんの表情はいつも通りに戻っていて安心した。


クローリー
「君、歴史詳しい?」

優一郎
「………」


その質問に優ちゃんは無言で頷く。


「………」


優ちゃんは本当に歴史に詳しいのかが疑問だ。
あの地下都市で育ったのだから詳しいのならこの4年間で勉強した事になる。

でもミカなら有り得るが、優ちゃんが進んで歴史を勉強しようとするとは思えない。


クローリー
「じゃあビックリするかもだけど、僕は十字軍だったんだ」

優一郎
「………」

クローリー
「神の為に戦う聖騎士、それが今や吸血鬼だ。笑っちゃうだろ?」

優一郎
「………」


自嘲気味に話すお兄ちゃん。
それに対して優ちゃんは何も言わずにただただ頷いていた。


クローリー
「………」
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