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罪と罰【終わりのセラフ】

第18章 執着




近づくと聞き取れた会話の内容は全く噛み合っていない。
どうやら優ちゃんが一方的に話しかけているだけらしく、お兄ちゃんは無視をして何かを読んでいた。


クローリー
「むー」

優一郎
「………」


優ちゃんに背を向けて、考え事をしているお兄ちゃん。
優ちゃんはその背中をじっと見つめていた。


「………」


あれは絶対に何か良くない事をやろうとしている顔だ。


優一郎
「ふー」


目を閉じて深く息を吐く。
そしてお兄ちゃんに斬りかかった。


「!」


部屋に響いた金属がぶつかり合う音。
その音に思わず反応してしまうが、これは予想できていた。


クローリー
「なんだろうな…」


案の定お兄ちゃんは見る事なく優ちゃんの攻撃を剣で受け止めている。
それでも腕が震える程力を込めていく優ちゃんだが、お兄ちゃんの手は全く動かない。


優一郎
「なんでそんなに強いんだよ!!」


歯が立たない事を改めて痛感した優ちゃんはとうとう逆ギレをしてしまう。


クローリー
「吸血鬼だからかなぁ?」

優一郎
「卑怯すぎるだろ!!」


すぐ近くで喚いても紙から目を離さないお兄ちゃんを見て、優ちゃんが更に力を込めようと刀を握り直した時だった。


優一郎
「…おわっ!」


お兄ちゃんが剣を振り上げ、刀を飛ばす。
弾かれた刀は天井へと深く突き刺さった。
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