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罪と罰【終わりのセラフ】

第18章 執着




人間の血を飲むと人間性が失われていくという知識を既に知っていたからその事実に私は気づけなかった。
そしてこれが正しいのならフェリドやお兄ちゃんも何かに執着しているという事になる。

もちろん彼らだけではなく上位始祖の吸血鬼達もだ。
この事実は覚えておいて損は無い。


「…なるほどね」


弱点と言うには本当に小さな事だが、吸血鬼の弱みに気づいた私の口角は上がっていた。
ここにいるよう止めてくれた君月、そしてこれに気づいた鳴海に感謝しなくてはいけない。


鳴海
「吸血鬼にも人間味があるとすれば組める可能性はあるな」

「…はは」


そんな事を思った矢先に発された鳴海の言葉に思わず笑ってしまう。
なんとも人間らしい傲慢な考え。

組めるもなにも私達吸血鬼と組まなくては勝ち目がないのはこちらではなく彼ら人間の方だ。
なのに上からでしか考えられないなんて命知らずなのだろう。


鳴海
「何がおかしい?」

「別に」


これ以上ここにいても得られる物は何も無いだろう。
そう判断して素っ気なく返事をすると、お兄ちゃんの元へ向かった。



*****



屋敷に入るとすぐお兄ちゃんと優ちゃんの話し声が聞こえてきた。


優一郎
「おい、元人間なのになんで人を殺すんだよ」

クローリー
「んー、なんだろ…。まず日本語で出すのが意地悪すぎない?」

優一郎
「無視すんな!」
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