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罪と罰【終わりのセラフ】

第18章 執着




ミカ
「後…?」


声からお兄ちゃんだけでなく、優ちゃんとミカがいる事は分かる。
それだけ人数がいるのならサキラも諦めるかもしれない。


クローリー
「出てきなよ」

サキラ
「………」


こちらに気づいていたらしいお兄ちゃんの言葉にサキラは私を持ち上げたまま姿を見せる。


クローリー
「そこにいるのは君だと思っていたけどアリスもいたのは想定外だな」

サキラ
「この裏切り者め…」


淡々としているが、お兄ちゃんの視線は私の首元にあるサキラの手にあった。
吸血鬼の力なら首を折るくらい簡単だ。


クローリー
「アリスを殺すつもりか?」

サキラ
「あんたを殺した後にね。ここまで手負いじゃ簡単に死ぬだろうから」


そう言って剣をお兄ちゃんに突きつけたサキラ。
お兄ちゃんも同様に構えようとしたが、それを見てサキラは剣先を私に押し当てた。


クローリー
「あれ、僕を先に殺すんじゃないの」

サキラ
「戦ってもアリスを抱えている私が不利、だから殺されたくなかったら剣を捨ててくれない?」

「っ…」


左胸に刃がくい込み、血が服に染みていくのが分かる。
これ以上の出血は本当に鬼になってしまいかねない。


クローリー
「………」


私の様子からその事に気づいているのか、お兄ちゃんは構えを解いた。
これでは私は足手まといだ。
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