• テキストサイズ

【イケメン王宮】星の導きのままに。

第8章 休暇



Jill side----



日が傾き始めた頃

ジルはイリアが雑貨店に並ぶ商品を
何気なく流し見ていることに気付いた。

(女性はやはり雑貨や小物が好きなのですね…)

目線の先には
髪止めやピンが並んでいる。


ジルはふと足を止め

「イリア、どれか欲しいものはありますか?」

とたずねてみた。


「えっ?」


意外な声掛けにイリアは驚いたのか
目を見開いて立ち止まる。


「今日まで慣れない私の仕事を手伝ってくださったご褒美を差し上げましょう。好きなものを選んでください」


「いいんですか?…じゃあ」


たくさん並ぶ髪飾りの中から
イリアはぱっと一つの髪止めを選んだ。


それはジルの瞳の色と同じ
深い紫色の石が施された髪止めだった。

「これが…いいです」

イリアは顔をあげてはにかんだ。


(……思えば、今日はたくさんの新しいイリアの顔を見させてもらいましたね)

城下にはしゃぐ顔
昔のなじみに会って懐かしむ顔
大好きな本に夢中になる顔
甘いものを口にして幸せそうにする顔

そして今

(私からのプレゼントにはにかんだ顔…今日見た中で一番美しい貴女を見せてもらいました)


イリアは渡された髪止めを
さっそくその場でつけた。

紫色の石が
夕日に照らされてキラキラ輝く。

「とても…よく似合っていますよ」

自然とこぼれたその言葉に、イリアは頬を赤らめていた。

「さぁ、そろそろ帰りましょうか」


エスコートに自然と差し出したジルの手に
イリアは少し驚きと戸惑いを見せていたが

おそるおそるその手を取った。

「ジル様」

「はい」

「……今日はありがとうございました」

「イリア、私もとても楽しませてもらいました」


久しぶりに城下の民の息遣いを感じたこともさながら


(貴女のことを……ますます離したくなくなってしまいました)




言葉にできない甘い思いが
ジルの胸の中を満たしていった。



/ 120ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp