• テキストサイズ

どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第7章 一次試験、開始


二人はそう言った後、暫し声無く会話しているようだった。

「良くは分からないけど、二人は仲が良いんだね!」

「はぁ!?ゴン、アンタ今の聞いててなんでそんな解釈になるワケ!?」

「え?だって最後は褒め合ってたんじゃないの?」

ゴンの無垢な言葉に、サキが額に手を当て項垂れる。
まだ仄かに顔の赤いクラピカが、はぁ、と一度息を吐いた。

「大方の事情は理解した。と言うより、聞いた私が悪かった」

そう言うクラピカと一度視線が合うが、直ぐに逸らされる。
サキは額の手を下ろしながら、ちらりと周りに目をやった。
私自身、今まで自分のことでいっぱいいっぱいだったが、結構……いや、かなり目立ってしまっているようだ。
当然と言えば当然なのだが、他の受験者の皆様方の視線が痛い。超絶に痛い。とてもじゃないが正視できない。
目を瞑ることさえ出来ない私は、彼女の視界の際に意識を移す。偶然に、レオリオがヒソカの肩を何故かポンポンと叩いているのが見えた。
──と、その時。

ジリリリリリリリリ

非常ベルのようなけたたましい音が、トンネル内に響き渡る。
皆が無意識に音源を探し、一斉に顔を上げた。
最初に目に入るのは、自ら発する音に揺れる、舌をびろんと出した頭だけの人形。
その人形を片手に吊り下げるのは、くるりとした口ひげを生やす、貴族的な雰囲気のスーツ姿の男性。

『サトツさん……!』

漫画通りの印象の男性に、私は思わず名前を呼んだ。
全ての視線を集め終えたサトツさんは、役目を終えた人形のスイッチをピタと切る。

「只今をもって、受付時間を終了いたします。また」

落ち着いた声が、咳払い一つ無い会場に降りてきた。
会場の誰しもが、サトツさんの一言一言を漏らさず聴き取ろうとしている。
……だからだろうか。

「これより、ハンター試験を開始いたします」

決して大きな声ではないのに、彼の声はよく通って聞こえた。
/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp