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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第4章 異心同体



そんな話を彼女としている僅かな間──時間にして、1分と経っていただろうか──に、ヒソカは同じ要領で次々に対処してゆき、全ての処置を終えてしまっていた。

「さぁ、これで問題ないだろう?あとは、助けが来るまで受付の彼女に見ていてもらえばイイ」

「……そうね。癪だけど、反論の必要もないし……従うわ」

彼女はおもむろに、テーブルの上から青い目を不安げに覗かせる受付嬢を見やる。そして片側の口角を気持ち上げると、

「ま、危険人物が居なくなれば、さすがに救護もやってくるでしょ。少しの間、頼むわ」

と、受付嬢に声を掛けた。
受付嬢の丸い目が、なお一層丸くなる。

それから、彼女はヒソカに向き直ると、瀕死の男性を担ぐ彼の元へと目を合わせつつ歩み寄った。
彼女は束の間、ヒソカと無言のやり取りをする。そして、くるりと出入り口へ向かった。
自動ドアを抜けた先は、彼女の想像通り入場規制が掛かっており、数人の警備員が出入り口を中心に、半円を描くように人々を塞き止めていた。

「君!逃げてきたのか!?早くこちらに……」

外に出ると同時に近寄ってきた警備員は、彼女の後に続くヒソカにギョッとした様子で後退りした。

「17人、中で倒れてるわ。早く病院に連れてってやって」

彼女は警備員にそう告げ、辺りを見渡す。彼女の目に留まるのは、目と鼻の先にそびえる病院。
野次馬のように集まった人々を突っ切るように、彼女は進んだ。人々は彼女の迷いの無さに一歩ずつ後退する。

『すみません、失礼しますっ!わ、ごめんなさい……!』

条件反射のように、私は心の中で頭を下げた。時折、肩や腕がぶつかってしまうので、余計にだ。

『聞こえもしないのに、よくやるわね。そういうのってパフォーマンスでしょ』

『パ……!?違います!こういうのは気持ちなんです!!!』

そう主張する私を、彼女は理解できないといった様子で見つめる。
けれど……なんと言うか、思い上がりでないなら、そこにあるのは拒絶というより、関心に近いような気がした。
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