第18章 言ってなかったか。
「何だ。今さら何を驚いてる。」
『いや………初めて聞いた気が………』
今まで、ヤらせろだの俺の女になれだのは言われたが、好きだとは聞いた事が無い。
一度聞いたら、良く分かんねェとまで言っていた。
「………言ってなかったか?」
『おそらく………』
「今、言った。」
『何か締まらないんですけど………いいのかなこれで………』
「良いんじゃねェか?それとも不安だったか」
『何でそんなに上から目線なんですか』
「敬語やめろ。」
『あ………うん。』
するとローは手のひらでカナエの頬に触れ、指で唇をそっとなぞった。
「ユースタス屋にはされたのか。」
カナエは無言で頷く。
強引に舌まで入れられて、気持ち悪かった。思い出すだけて、体が強ばる。
「俺が消してやる」
『え………』
そう言うと、カナエの顔を優しく手で包んだ。
ローは少し屈むと、顔を近づけ唇を重ねた。最初は触れるだけだったが、次第に何度も角度を変えて、押し付ける様にしてきた。カナエの下唇に音を立てて吸い付く。
するとローは、少し開いたカナエの口に伺うように舌を入れてきた。
『ん………』
カナエはそれを受け入れた。二人の舌が絡み合い、呼吸が重なる。
キッドとは全然違う。
キスってこんなに気持ち良かったかな。
体中が痺れてしまいそうだ。
今までこんな感覚は経験した事無い。
溺れさせてやるってローは言ってた。
それがどんな感じか私は知らないけど、
もう、この人しか見えない。
「あっ!!キャプテーン!こんな所にいた!隠れてないて出て来て………」
「『あ』」
「ごめーーーーん!!!」
ベポに見つかった。見てはいけないものを見てしまったベポは青褪めている。
カナエは今すぐ地面に穴を掘って埋まってしまいたいくらい恥ずかしかった。
「チッ………良い所だったのに……いつまで引っ張る気だ、あの女………!」
『誰に言ってるの……』
「気にするな。」
すると遠くから聞き慣れた声がしてきた。
「ベポー!船長いたのかー?」
「カナエさんも一緒か!?大丈夫か!?」
「皆!来ちゃダメだ!!特にシャチ!!刺激が強すぎる!」
「何で!?」
船員達が近づくと、ベポの後ろからローとカナエが出て来た。