第27章 忘れてました。
顔を覆っていたのは、ローの腕だった。
何も見えないので腕を退けてみると
刀を突き付けられ、半泣きで両手を上げている憐れなトミダの姿があった。
これはさすがに可哀想だ。
『ロー!これ2回目!やめてあげて!』
「チッ………命拾いしたな。」
ローは渋々、刀を降ろしたが本気でバラすつもりだったようだ。
しかし、それよりもトミダには気になる事がある。
「俺の女って……ローがメロメロだとは聞いてたけど、もうできちゃってる感じなのか!?」
『殺されそうになったのに、そこに反応しないでください……』
「ウッ!眩しい!!」
『は?』
「トラファルガー・ローの女ってだけで箔がつくもんだな!眩しいぜ!スズキ!!」
『何か馬鹿にされてる気がするんですけど……』
「殺って良いか?」
『良いよ。』
「おい!!」
ローが本当に殺る気になってしまったので、カナエと船員達は慌てて止めに入った。
やっとの思いでローを諦めさせると、何故か
トミダはその場に倒れ込んだ。
カナエを見つける為に、連日長時間、飛び回っていたらしく、体力の限界だった様だ。
『おじさんなのに無理するからですよ。』
「スズキもそんなに歳変わんねェだろ……おじさんは辞めろ……」
トミダはそのまま意識を失った。
ローは海に放り投げろと言う。
しかし、お世話になっている先輩。こちらの世界で会うなんて奇跡だ。
カナエが必死で説得して、医療室で点滴をして貰う事になった。