第5章 踏み出したいのに
「凪ー!どこいってたのさぁ!!」
教室に入るやいなや、うしろからだきついてくる声に私はめんどくさそうに
「ちょっとトイレ行ってただけだし、離してよ魅羽ー」
声を聞いただけでわかる、昨日私を心配してくれた親友の魅羽(みう)だ。小さい頃から一緒で、ちょっとこの子の事で困っている事と言えば、魅羽が男からモテすぎて私が悲しくなる程度かな。
「栗原も探してたよー?いやぁ凪ちゃまは愛されてまちゅねー」
手を離しながら少しからかってくる魅羽に対し、お子様扱いするなと怒ったふりをして、席についた。
それから放課後までは何事もなく平和に終わった。
「凪ー帰ろうぜ!」
はいはい、と返事をして、荷物を持って茜の元まで行った。
茜と他愛もない話をしながら校門をでた瞬間、
「あ、凪さん!」
「うげっ...姫野...」
あたかも偶然出会ったように待ち伏せしていた相手、姫野 陽斗と出会った。茜は訳が分からず、へ?なに?という様子だった。
「帰り道もしかしてこっち?なら一緒に帰らない?」
呑気に話しかけてくる陽斗に、私は金輪際厄介事に巻き込まれたくないので
「先客がいるのでまたあとにしてください、それじゃ。」
いくよ茜、と通り過ぎようとすると、急に黄色い声をあげながら大勢の女子が私たちに寄ってきた、ぎゅうぎゅうなんてもんじゃない、窒息しそうな勢いで集まっている、しかもみんなそれぞれ
「陽斗様ぁ!」「こっちみてー!」
などと叫んでいるのだ。
「いやぁ皆、今日は一緒に帰る人ができたんだ、」
陽斗は慣れた感じで皆に言うと、揃って皆ため息をついた。
「だけど断られちゃったんだ....」
と、あからさまに落ち込んだ様子で私を見た。すると女子達も一斉に私を睨む。
え、えっと...と焦っていると、女子の内の一人(きっとリーダー)が、
「折角陽斗様が誘っているのに断るのは最低よ!!ご好意に甘えなさいよ!!」
と言うと他の女子も一斉に頷いた。
...昨日に引き続き、今日も厄介事に巻き込まれました。