第5章 踏み出したいのに
「...え?」
てっきりこいつがばら撒いたんだと思っていたわたしは思わず目を見開いた。
「そもそも僕盗撮した写真を安易にばら撒いたりしないしね。」
にこ、と首をかしげながら言う彼にわたしは少しイラついて
「じゃあなんであたかも自分があの写真ばら撒いたようなメッセージ送ったの?」
「だってそうしなきゃ君確実には僕のところへ来ないだろ?」
ちょっと嘘ついただけさ、といたずらっぽく笑って
「まあ、保健室の写真は僕が撮ったものだからばらまかないって保証はないけどね。」
と加えて言って私を見つめてきた。本来なにもなくただ見つめられていたら普通の女子は鼻血出して惚れるだろう、盗撮まがいのことをされ、それをネタに呼びつけられなければ。
「...なにがしたいの?」
低い声で睨み付けると、
「今度僕と休みの日付き合って欲しいんだけど、どう?」
「え?そんなことでいいの?」
てっきりカツアゲとか一年パシリとか過酷なものかと思っていたけど、1日付き合ってあげるくらいなら、楽かな。
「え?もっとキツいことやりたかった?凪ちゃん意外とM?」
にやにやしながら言ってくる彼に向かって
「そんなわけない!1日だけなら付き合ってあげるけど、もう盗撮とかしないでよね」
「よし、交渉成功だね、予定がきまったらまた連絡するから。」
キーンコーンカーンコーン....
と、そこで丁度昼休みの終わったチャイムが鳴った。
「あ、僕戻らなきゃ、用事はこれだけだから。じゃ、」
と、すれ違いざまに私の頭に手を乗せて
「顔色悪い。自分から誘っておいてあれだけど無理しない方がいいよ」
そうボソッと呟くように言って屋上を去っていった。
「....なんなの、あいつ...!!」
脅し利かせたり、馬鹿にしたり、...優しくしたり。
悪いやつならそうはっきりしてよ、ムカつく。
複雑な気分のまま私も教室にもどった。