第10章 番外編
「ふざけんなよっ、てめぇ!優里のこと傷つけておいて家族が居るだと?!
お前大人なんだろ、責任持てや!!」
いきなり怖がらせてすみません。
状況を説明いたしましょう。
隣にいる怖いお姉さんは由羅さんという女性です。
優里ちゃんのことが大大大好きな彼女はもうひたすら怒ってます。
なので俺はお水を飲みつつ、真野って奴にガンを切ってます、はい。
「す、す、す、すみませんっっ!!」
「誤って済んだら警察もヤンキーもいらねーわっ!!それなりの詫びはしてくれんだろうなぁ⁇あ??」
すっごい自論を言ってるけどスーツにメガネ姿でこの口調、なかなかの迫力でございます。
その後、1000万もの大金を払うというところで丸く収めておいた。
「いやぁ〜、久しぶりに怒ったから疲れちゃった。一杯どう?」
「俺もです。奢りますよ」
そんな感じで俺たちは少しおしゃれなバーに入り、お酒を煽る。
「優里はね、小さい頃から吉原にいるけど心はずっと綺麗なの。凛としてて、頭も良くて、可愛くて、なのにあの真野がぁぁ…」
由羅さんは見事なスピードで呑むからかなり酔っているようで、優里ちゃんのことを泣きながら話し始めた。
先ほどとのギャップがすごい。
「優里ちゃん、いい子ですもんね〜」
「あらら、色白くん恋しちゃった〜?学生とエリートの恋も魅力的だわ〜」
なんて言うもんだから俺は思いっきり笑ってしまった。
「由羅さんは何でもわかりますね。確かに彼女のこと好きになったけど、弟はもっと前から優里ちゃんが好きなんです。だから譲ろうかなって…」
そう言った途端、号泣してる由羅さんは俺に抱きついてきた。
「優里ってば罪な女ねぇ。兄弟もろとも惚れさせるなんて流石だ!
あんたもいいお兄さんだっ!私でいいならいくらでも慰めるからっ!
やっぱ今日は私が奢る!色白くんも泣いてしまえ〜」
と言ってるが由羅さんが泣きすぎてて、俺は笑いがこみ上げる。
ま、その後由羅さんは酔いつぶれ俺がそこを支払ったのだが。
それでもここ何日かで、由羅さんという人はとてもいい人だと感じた。