第7章 変わる生活
「あー、ちょっと手貸しただけだよ。
ほとんどはあの色白くんがやってたから」
そう言ってる由羅さんの電話口から華やかな音楽と、話し声が聞こえる。
どうやらこれから仕事なようだ。
「本当に助かりました!今度直接お礼に行きますね。仕事頑張ってください」
「ありがとう、今度こっちに顔だしなよ?あ、色白くんにお疲れ様って伝えといて!じゃ、またね」
そう言っていつものスマートさを漂わせていた。
にしてもいろいろとびっくりだ。
「由羅さんがお疲れ様と言ってましたよ」
「いやいや、ほとんど由羅さんがやってたからね〜」
と、2人して同じことを言っていた。
「ま、とにかく優里は学費とか見学旅行とかなーんも気にせず行っておいで!さ、夕食の続きだ!」
そうして私たちは楽しく食事を再開した。
「さてと、悩みは解決してきたし兄として言うぞ。優里、斗真は十分待った。答えを出してやれっ!」
蒼茉さんは私達を廊下に押しやり、自分はリビングに籠る。
いきなりの展開に私たちは驚いていたが、斗真が口を開いた。
「あ、えっと…改めて言うね。
俺は優里が好きなので…その、付き合ってくれたら嬉しいな」
そう言って私に手を差し出してきた。
もうこの手を取るために立ちはだかる壁はなにもない。
「こちらこそ、よろしくお願いしますっ!「よっしゃぁ〜〜っ!」
私が斗真の手を取ろうとした瞬間に勢いよくリビングの戸が開き、蒼茉さんが出てきた。
「斗真、初恋が叶って良かったね。もー、お兄ちゃんとして嬉しいぞぉー!
優里もこんな奴だけど支えててやって!」
なぜか私たちよりも嬉しそうな蒼茉さんは家中を走り回っていた。
そんな様子に私達は手を繋ぎながら、一緒に笑いあった。