• テキストサイズ

私は吉原のお姫様【R18】

第3章 いつもの昼、いつもの夜


「それじゃあ出ますかっ!ーあっ、追加料いくら払えばいい?」


彼がドア付近でこちらを振り返ってきた。


「んー、いりませんよ。その、多分、私からねだってたはずなので…///」


彼の顔を見ないように言うと、すぐに笑い声が聞こえた。


実際、あのまで外に出されるのは嫌だった。私の中で果てて欲しかったから。


「そ?ありがとう。じゃあこれは交通費ってことで受け取ってよ」


彼は私の手にお金を握らせてくれた。

最初は断っていたが「年上のプライドを無下にするな」と言われたのでありがたくもらっておいた。



すっかり寒くなったPM9:53


ホテルを出た私達は別れの挨拶を交わす。



「今日はありがとう。またね」


「ありがとうございました」


最後まで屈託のない眩しい笑顔を私に向けて、手をひらひらと振ってから夜の街に溶けていった。



今日ほど『ルール』がもどかしいと思った日はない。


●お客様の名を聞いたり、詳細を聞き出したりはしない。
(自己責任で名乗ったり、教えたりするのは自由)


●私の詳細を聞き出したりはしない。


●最低18000円払うこと。(先払い)


などなど、援交をしていく上で不利のないようにルールを決めている。


「名前だけでも…聞きたかったな」


でもそれはルールに反する。



「勉強も学祭の準備もあるし…帰るかぁ」


私はまだ濡れている髪の毛をアップにして、ネオンの街を通り抜けた。





帰ってからお風呂に入ったり、軽めの夜食を食べている時も彼の顔が頭に浮かんだ。



「引きずっちゃダメ…こんなんじゃ両立できないしっ!」



私は自分に言い聞かせ、また勉強机へと向かった。
/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp