第6章 ワンピース―――ロロノア・ゾロ
次の日、ゾロは本当に来てしまった
今日この島を出ていってしまうらしい
「決めたか?」
『………うん。私は………ここから出ないよ』
「………いいのか?」
『うん。ここから出なくても不自由はないから。それに、もう誰かが傷つくのは見たくないの……』
「どういうことだ?」
『昨日話した男の子が私をここから出してくれようとしたの。でも、その男の子は荊に………!』
「だから、ここから出られないってか?」
『………』
「――ナメんじゃねぇよ」
『え?』
今まで聞いたことのないようなドスの効いた声を出したゾロの足音がこっちに近づいてくる
「みずき、下がってろ」
『っ!!ゾロ!やめて!この荊は―――』
いい終える前に私の前の荊が切られていく音がする
もう誰かが傷つくのは聞きたくなくて、見たくなくて、私は踞り耳を塞いで目を閉じた
そっと、体に触れる感触があって私は体の力を抜いた
『ゾ……ロ……?』
「ああ」
顔を上げると逆光で顔が見えない
だが、その体には何処にも傷はない
荊の方に視線を向けると切り裂かれた荊が力なく横たわっていた
「ほら、立てよ」
ぐっと腕を引っ張られて立ち上がる
だが、急に立ち上がってふらついてしまいゾロにもたれ掛かる
「ったく、何やってんだよ」
『ゾロ……』
私よりも頭1つ分背の高いゾロを見上げると、ゾロの顔が初めて見えた
「ん?何だ?」
『ゾロ、かっこいい……』
「……んなこと言われてもわかんねぇよ……」
照れたのかそっぽを向くゾロの背中に腕を回してみる
その背中は私よりも広く逞しい
生きている世界が違うと思い知らされる
それにしても……
『どうやって、荊を切ったの?』
今まであの男の子の他にも、この荊を切ろうとしたものは少なからずいた
だが、誰もこの荊を切ることはできなかった
「ナメんなっていっただろ?
俺をそこら辺のやつと一緒にするな」
どうやら、ゾロは本人がいう通りとても強いらしい
「ついてこいよ。仲間たちにお前を紹介してぇからな」
『……うん!』
私はゾロに手を引かれて山を降りていった