第1章 Free!―――橘真琴
みずきside
「みずき。お疲れ様」
プールサイドから降りてきたまこくんが蛇口をひねる
『まこくん。まこくんこそお疲れ様。
リレーの練習上手くいってる?』
「まあまあ、かな」
練習のあと二人は並んでシャワーを浴びていた
ハルくんたちは先に出ていて今この場には私とまこくんの二人しかいない
速くなる鼓動に気づかないふりをして体についた塩素を落としていく
「みずきはどう?最近違うメニューだからわからないけど……」
『私の方は順調だよ。あとは、本番自分の力を出しきるだけ』
「みずきは意外とあがり症だからね」
アハハ、と笑うまこくんをムッとして睨む
『まこくんだってスタート失敗しても知らないからね!』
「ごめんごめん。怒らないで。可愛いからつい」
『かわっ!?何言ってるの!まこくん!』
「顔真っ赤。ドキドキしてる?」
まこくんがシャワーを止めて私を抱き締める
『ちょっ!まこくんっ///』
「俺もドキドキしてるの、わかる?」
顔の前に至近距離でまこくんの胸があって、まこくんの声が耳に入ってこない
『近いっ///』
「ねぇ、みずき。ここ、すごいでしょ?」
『あっ///』
まこくんの手が私の手を自分の胸に誘導する
すると、私と同じかそれ以上にまこくんの心臓は早鐘を打っていた
「ね?」
『うん……すごく速い……』
「みずきといるときはいつもこんな感じだよ。
ずっとみずきが好きだった。みずきの気持ち、聞いてもいい?」
『わ、私も……ずっとまこくんが好き』
「ほんと?」
『うん』
頷くと私を抱き締めるまこくんの力が強くなった
「よかった~」
『まこくん……苦しっ』
「ああ、ごめんごめん!」
まこくんは私を離してにこっと笑った
「これからよろしく。みずき」
『こちらこそ、よろしくまこくん』
私たちは微笑み合った
→→→後日談