第3章 七つの大罪―――ゴウセル
その声の主は建物の屋根の上にいて私たちを見下ろしている
『あなたは……!』
「七つの大罪……ゴウセル……!!」
「そう、俺は七つの大罪、色欲の罪、ゴート・シン、ゴウセル!」
きゅぴーん、と決めポーズまでして自己紹介をするゴウセルに一同は心の中でツっこんだ
((((いや、知ってるし!!!))))
ゴウセルはスタッと私たちの方に降りてくると、この状況を見て首をかしげた
「何をやっているんだ?」
「……!」
今の状況を説明するわけにもいかず、私を囲んでいた女たちはそそくさと去っていった
「何故逃げる?」
首をかしげているゴウセル
その姿に私は吹き出してしまった
「何故笑う?」
『……っいや、面白くて……ついっ……』
神器を持つほど強く、王国を救った英雄の一人なのに、人間関係には疎いのか
そう思うと、何だか、まったくの他人とは思えなかった
『私たち、意外と似た者同士なのかも』
「そうなのか?」
『多分、ね』
私はそう言って笑った
その日からゴウセルは私と一緒にいるようになった
『………うっ…』
「みずき……」
ある日の夜、悪夢を見たとき、彼が助けてくれた
私の頬に伝う涙を拭ってくれた
「俺がそばにいるぞ」
そう言って頭を撫でてくれた
いつの間にか、私はそんな彼を好きになっていた
告白とかはしていない
けど、お互いに想い合っている、そう思った