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Nachtigall im Kafig(進撃:リヴァイ夢)

第1章 Nachtigall im Kafig


 幼い頃、私は小さな鳥を飼っていた。動物嫌いな母に我が侭を言ってまで手に入れた小鳥だった。種類は興味がなくて知らないが、地味な色合いで見た目はいまいちだったのをよく覚えている。けれど顔は愛嬌があって、声も友達や近所の間では評判なほど可愛らしかった。ひよひよと鳴くその子は、私の人生の中で一番の幸福だった。

 小鳥自身も幸福だった。なるべく気持ちいい天気を楽しめるように日陰のある場所へ鳥籠を外へ出したし、餌も水も絶えないよう常に確認していた。人にも懐いているようで、誰かが籠を横切れば挨拶をするかのように歌いだす。皆から愛された、私の宝物。

 もちろん、不満な事もあったと思う。母との約束で小鳥を籠の外へ出した事はない。手乗りにしたかった私はすごくガッカリし、小鳥もきっと空を羽ばたきたかっただろう。けれど逃げられては元も子もないし、だからと言って家で放し飼いにするのは母が嫌がった。家の中が落ちた羽や糞で汚れるからだそうだ。多少の我慢は必要だが、小鳥の安全と室内の衛生面を考えれば渋々でも納得できる。だからあの子は我が家にいた五年間、決して籠についた扉をくぐる事がなかった。

 今では後悔している。あの子を籠の中に閉じ込めたのは間違いだったと。
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