第4章 見えない誘惑~for Leo birthday~
晴れ渡る昼の空。レオはリルと城下でのデートを楽しんでいる
(風は冷たいけど暖かいなぁ)
仲良く手を繋ぎ色んな店に目を向ける。お忍びデートの2人は帽子を被りお互い顔はよく見えない
「リルちゃん、さむくない?」
「うん、レオと一緒だから暖かいよ」
キャメルカラーの落ち着いたコートにつばの広い帽子。いつもより大人びたリルについキスしたくなる気持ちをぐっと堪えている
(お忍びデートだから余計ドキドキするんだよね)
甘い揚げ菓子の臭いやもぎたての果実の香り。顔は見えなくても楽しそうに歩く姿が愛おしい
(あ、あそこは)
ふと、見ればランジェリーショップを見て足を止める
「かわいい」
レースのあしらわれたネグリジェや、下着がトルソーに飾られている
(ランジェリーショップかぁ)
「見たい?いいよ。俺も入ろっかなぁ」
おどけて耳元で囁くと口をパクパクさせるリル
「れ、レオ!!」
(ああ、もう、すぐ顔真っ赤にするんだよね)
「冗談冗談。いいよ、新しいの欲しいなら、俺待ってるから見てきて」
「え?でも、寒いしわるいよ…」
(わかってないよねー)
「俺のために選ぶんでしょ?いつもと違う刺激的なのがいいなぁ」
「…!!」
「せっかく来たんだし、ゆっくり見てきてね。俺、すぐそこの本屋にいるから」
(ちょっとからかい過ぎたかな)
一人店に入るリルを見届け、本屋へとレオは足を運んだ
10分後リルは出てきた。丁寧に包まれた袋を持ち気恥しいそうにしている
(買ったことには違いなさそうだね)
「お待たせ…ごめんね、待たせて」
「俺もさっき来たとこだから、行こっか」
買ったばかりのランジェリーの袋をレオはさりげなく自分の手に収めると片方の手はしっかり指を絡め繋ぎ合わせた
「いいよ!自分で言う持てるよ!」
「リルちゃんの手は俺と手を繋ぐ為にあるんだけどなぁ」
「もぉ…レオってば…ずるい…」
(あぁ、顔見えないの残根。しかたないけど)
「俺の本心だからね。次どこ行こうか?」
「レオの誕生日なんだもん、レオの行きたいとこに行きたいな」
「リルちゃんらしいや。じゃ、こっち」
レオに手を引かれ、ウィスタリア城下を一棒できる時計台へとやってきた