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100日間のプリンセス~月が導くセレナーデ~

第1章 Blue Moon~with Jill Birthday~


穏やかな光指す昼下がり、キッチンからバスケットを持ったリルは早足で廊下を歩く。焼きたてのタルトタタンはバスケットから香ばしく甘い香りを漂わす

城下の店で摘みたてのリンゴをお裾分けしてもらい甘いものが好きな愛しい恋人、ジルの誕生日にと宿舎のキッチンを借りて、こっそりと焼き上げた

(うまくできるかな…夕方からジル、予定ないって言ってたから、プレゼントしたいな)

自室へ戻り、サイドテーブルにバスケットを置き部屋を後にした

向かった先は時計塔。時計の針は止まったまま、時を刻むことはない。この止まった時計の側でジルはよく読者している。螺旋階段を登りそっと扉を開けるとジルは本を開いたまま目を閉じていた

(いつも、沢山の仕事こなしてて、疲れてるよね)

疲れた顔など見せず、教育係として、スポークマンとして、国王の側近として仕事をこなすジルに尊敬の念を持ちながらも、倒れてしまったらといつも心配している

「ジル、いつも支えてくれてありがとう、無理しないでね」


そっと唇を重ねた。柔らかな温かみを感じ顔を離そうとした途端、ぐっと頭を固定され、目を見開く。ジルは目を開け優しげな眼差しでこちらを見ている

「全く貴女という人は」

唇を優しく挟み次み、息をしようと開けばスルリと舌を滑り込まされる

「んんっっーー」

歯列をなぞられ、舌を見つけると絡め取られる、吐息ごと吸い上げられジルに体を預けるようにもたれかかると片手で背中を撫でられ甘い刺激が体を走った

「ふぁぁーーっ//お、起きてたの…!?」

「ええ、貴女が可愛いことを言うので目が覚めましたよ」

優しく抱き寄せ、仕上げのキスをそっと落とす。顔を真っ赤にし、ギュッとジルにしがみついた

「起こしてごめんね…」

「謝ることはありませんよ。こうしてリルを独り占め出来ますからね」

互いの胸の音が心地よい。柔らかな髪を撫で、少し力を込めて抱きしめた

「ジ、ジル…誰かに見られたら…」

(心配症なひとですね)

「ここには誰も来ませんよ。それとも、私とこうしているのは嫌ですか?」

分かり切った答えをわざとわざと聞こうとする

「そ、そんなっ、嫌なんて…」

顔をグリグリと擦り付け答える姿が愛おしい。もっと求めて欲しい、少し意地悪な気持ちがジルの中に芽生えた


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