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100日間のプリンセス~月が導くセレナーデ~

第2章 甘く優しい隠れ家~for sid~


シドと2人、昼下がりの城下を歩いている。午前中で公務は終わり明日は丸1日休みを取ることが出来た

「久々にゆっくり出来るの嬉しい」

「はしゃぎ過ぎて転けるなよ」

「もお!ひどいっ」

頬をを膨らませシドを見上げると、口の端を釣り上げ喉を鳴らし笑う

「可愛い顔が台無しだな」

耳元で囁かれ、耳まで真っ赤になる

(ほんと、ずるい…)

頭をぽんぽんと撫でられむず痒い気持ちの中、城下を歩き進めた


「よぉー、シドじゃねぇか!」

パン屋の店主が声をかけてくる

「よぉ」

「おや?プリンセスも一緒かい」

「こんにちは」

「いいとこに来たね、ちょうどパンが焼けたところだ。持ってきな」

焼きたての香ばしい香りのするパケットを袋に詰めてくれる

「いいんですか!?」

「ああ、いいってもんよ。頑張ってるプリンセスへの俺からのプレゼントだ」

ニカっと笑いバケットの入った袋を受け取った

「ありがとうございます!いい匂いー!」

「だろ?豊作でいい小麦が取れたしな」

「よかったな」

「うん!」

満面の笑みを浮かべ喜ぶリル

「しっかし、昼下がりにシドが城下にいるとは珍しいな」

「ああ、デートだ」

「ちょ、シドっ!」

(そ、そんなストレートに言わなくてもっ!)

びっくりしているリルを余所目に店主は

「ハハハハ、シドの口からデートなんて言葉が出るとはな!」

豪快な笑いを飛ばしてぽんとシドの肩を叩いた

「ちゃんとプリンセスをエスコートしろよ」

「心配される筋合いはねぇよ」

手短にお礼を告げ、ひらひらと手を振りその場を後にするシドを追いかけた

(今、シドとデートしてるんだよね…)

改めて思うと嬉しくて頬が緩む

「何にやにやしてんだよ。当ててやろうか?」

「!!!」

顔をのぞき込まれ言葉が詰まる

「お前、ほんと、わかりやすいな」

「シドの意地悪…」


「くくっ、そんな男に惚れたのは誰だ?」

(言い返せない…)


顔を伏せると持っていたバケットの袋をシドが持ち上げた

「ほら、持ってやるよ、他にも見たいとこあんだろ?」

優しい眼差しが降り注ぎ、またドキッとさせられる

「ありがとう…」

ひんやりとした風がワンピースの裾を揺らしたが、シドなりの優しさに心は暖かくなった


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