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十四郎の恋愛白書 1

第10章 No.10


山崎と近藤さんがこちらを見る。

…ヤバイ。これは、この感覚は、もしかして…!

「トシさん、どうしたんですか?」

心配げにオレを見るゆき。

どうする⁉︎ でも、、ずっと我慢できるわけじゃねぇし…。

オレはゆきに視線をゆっくり合わせる。

「ゆき…。トイレ、行きたい…かも」

「 …… 」
「 …… 」
「 …… 」
「 …… 」

「と、トイレ⁉︎」

一瞬の沈黙の後、ゆきが素っ頓狂な声をあげる。

「ど、どうしたらいいんだ⁉︎」
「え、えと、我慢できないんですか⁉︎」
「いや、もうちょっと限界…」

焦るオレ。オロオロするゆき。

「土方さん、自分でできないなら、オレが拭いてあげまさぁ」
「「無理‼︎」」

しれっと言う総悟に2人同時に怒鳴る。

「仕方ありません。一緒に行きましょう!」

スクッと立ち上がって言うゆき。

「い、一緒に⁉︎」
「はい。トシさんは目隠ししてもらって、私がお世話します」

そう言ってゆきはオレの手を握ると「厠はどこですか?」と言いながらズンズン歩き出した。

ちょ、え、えー⁉︎




恥ずかしさで死にそうとは、こういうことを言うのか…。

オレとゆきは、お互い部屋の隅でガックリと項垂れていた。

あの後、オレのトイレの世話をゆきにしてもらい、ゆきのトイレの補助をオレがした。

なんで惚れてる女にシモの世話をしてもらわなきゃならないんだよ。何のプレイなんだよ。

「トシ、おまえまさか…」

羞恥心に苛まれているオレたちを見て、近藤さんがゆらりと立ち上がる。

「まさか、“大”の方の世話をゆきさんにさせたんじゃ…!」

「小便だ!」
「オシッコです!」

同時に叫んだ。
しかし叫んだ途端、ゆきはハッと口を押さえ真っ赤になって俯いた。

いやだから、そんな乙女な仕草、オレの身体でしないでくんない。ほら、みんなドン引いてるから。

しかしこれ以上長引くとその可能性も出て来る。こうしてはいられない。急がないと!

「とにかく、早く万事屋に行くぞ!」

オレが立ち上がり何度目かのセリフを言うと、ゆきも顔をあげ力強く頷いた。

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