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十四郎の恋愛白書 1

第4章 No.4


定食屋に行かなくなってから、更に1週間が経った。

ゆきのマヨネーズは食いたい。
でも、ゆきの顔を見て以前通り振る舞える自信がなかった。
オレはゆきに惚れてる。
今更気付いてももう遅い。ゆきは万事屋と付き合ってる。
あぁ、ゆきと万事屋の並んで歩く姿が頭から離れない。心の中がグチャグチャだ。


「トシ、定食屋に行かないのか?」

頬を大きく腫らした近藤さんと廊下で鉢合わせした。
またあのゴリラ女のところに行ってやがったのか。

「あぁ。書類が溜まってるからな。しばらく行けそうにねぇ」

オレが付いた嘘を信じた近藤さんは、申し訳なさそうに眉を下げた。

「今度、マヨネーズ差し入れするからな」
「サンキュー。キュービーで頼むわ」

近藤さんに片手を軽く上げ、その場を立ち去った。



翌日、珍しく総悟が朝帰りした。しかも傷だらけだ。

「どうしたんだ、総悟‼︎ 誰にやられたんだ⁉︎」

まるでお父さんな近藤さんは総悟の傷を見てオロオロだ。

「昨日ちょっとチャイナと一悶着ありやして、このザマでさぁ」

総悟は包帯を巻いた腕をさすりながら眉を顰めた。

なんだ、万事屋のとこのチャイナ娘か。この2人はほんと犬猿の仲だな。顔会わせたら喧嘩してる。

「でも安心してくだせぇ。チャイナにも同じくらいのケガ負わせてやりやしたから。なので、今回は引き分けでさぁ」

そう言いながらも悔しそうな総悟。いくら相手が戦闘民族の夜兎だからって、女にやられたのはプライドが許さないのだろう。

でも意外とこの2人、お似合いなんじゃないのか?とオレは密かに思っている。闘っている時の2人の顔はすごく嬉しそうだ。まぁ、他人の色恋沙汰に口出しするつもりはないが。

「それで、手当は誰にしてもらったんだ?」

どこまでも保護者な近藤さんは、お礼に伺わないと、と騒いでいるが、総悟はちょっと考えてから首を振った。

「通りすがりの親切な人がしてくれやした。打撲と擦り傷ばかりなので、病院には行かなくて大丈夫です。お礼は後日オレが1人で伺ってきやす」

そう一気に言うと総悟は「少し寝てきやす」と言って部屋へと向かって行った。しかしオレの横を通り過ぎた時、ふわりと覚えのある香りが鼻を掠めた。

「!!」

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