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月に泣く~BLEACH~

第40章 ~拾玖~HOME


「サラさん?」


「あ、いえ…そうですね。じい…総隊長から戻るように言われました」


「そう、ですか」


気持ちが沈んでいく
サラにとって喜ばしいことなのに、自身が死神に戻らないと決めた時から分かり切っていたことなのに、当人から聞くと、やはり気持ちがついていかない


それほどまでにサラとの暮らしは心地よかった


(気持ちにフタをするって決めたばかりなのに…僕も大概ッスね)


喜助が気落ちしている間にも、サラの話は続いていく


「でも...その時浮かんだのは、死覇装を着た自分ではなかった」


その内容に喜助は目を丸くする


「エプロンを付けた自分、制服を着た自分…浮かんでくる全てが此処での私で。そして、やはり全ては貴方が側にいなくては意味がなくて。
――だからこそこの気持ちを大事に...大切にしたいと思うんです」


「それって――――」


「私、隊に戻るのを辞めました。ずっと貴方の傍にいたいから....好きです喜助さん。ここに居させて下さい...犬を飼うなら私にしない?」


「っ………」


沈んでた気持ちが浮上していく
蓋をした想いはあっさりと開けられてしまった


そんな気持ちに正直に、喜助はサラをグッと抱き寄せるとキツく抱きしめた


「ホントに貴女って人は…どんだけ年上を弄ぶんスか」


「ダメ...ですか?」

「....飼いませんよ。貴女が居てくれるなら寂しくない...」


喜助は腕を少し緩めると、サラの頬に手を添えた


「ありがとうサラ...おかえりなさい」


「....ただいま」


サラは少し涙ぐむと、喜助の添える手に自身の手を重ねる
そして、お互い引き寄せられるように唇を重ねた



「好き...喜助さん」


「ボクもだ...愛してる」


何度も繰り返す口付けの合間に呟かれる言葉


漸く伝えられた喜びを携えながら、掻き抱くようにいつまでも終わることのない熱をお互いに感じ続けていった




(お名前は?)


(ハルカサラ...)


(サラ…私と一緒に行きましょう)




BLEACH~月に泣く~  終
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