第2章 プリンセスのお相手選び
今日は馬術のお稽古。
指導者は、アラン。
アランは、騎士で、しかも騎士隊長だから一番偉い。
そして何よりも、馬のことを誰よりも可愛がっている。
アランは、馬に乗る前に、必ず馬の手入れとコミュニケーションが大切だと教えてくれた。
馬の毛をブラッシングすると、顔を私の方へすりよせてくれる。
かわいいなぁ。
アラン「背中もしっかり、ブラッシングしろよ。ここが、いちばん痒いんだから。」
「そっかー、背中は自分でかけないもんね。」
アラン「よし、やるぞ。今日は、一頭でいい。」
アランは厳しく、親切に教えてくれた。
練習が終わってから、アランが言った。
アラン「お前、プリンセスになったのはいんだけど、最初に会ったとき、違うこと言ってただろ?あれは、どうなったんだよ。」
ズキ。
心が痛む。
「実は、アランにお願いがあるの。それを、果たすために。」
私は、アランに前の仕事のこと、生徒との約束のことを全て話した。
アラン「わかった。でも、今はだめだ。昼間、プリンセスが外出する時は、ジル、ユーリ、騎士隊がついてなくてはならない。
まぁ、俺は騎士隊長だから、二人きりでもお前を守れるけどな。」
「お願い、アランにしか頼めない。」
アラン「わかった。このことは、誰にも言うなよ。」
夜になり、空には満月が光っている。
ユーリ「今日も、勉強がんばったね。ゆっくりやすんでよ、プリンセス。おやすみ。」
「おやすみ、」
寝たふりをして、私は着替えて、厩舎へむかった。
馬をなでていると、後ろから手が。
「!」
「おい」
「キャー!」
アラン「キャーじゃねぇよ。静かにしろ。バレるぞ。こっちだ。その白い馬は夜目立つから、こっちの黒い馬でいくぞ。」
「うん、ごめん。」
アラン「ったく。」