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第3章 仰げば尊し



夢ン中と一緒だ。

思わず窓の外に体を乗り出しそうになったけど、ぐっと我慢する。
文香にインフルうつしたらマズイ。

「どっちになった?南小?北小?」

南ならオレ和也コース。北なら康史武則コース。

「早く治して学校おいでよ。そしたらそのとき教える」

はい?

そんなんありかよ?

「じゃあね。朝練遅れちゃうからもう行く」

ランドセルをカタカタ鳴らして文香が走り出した。
一度振り返って、手を振る。

「みんな待ってるよ!」

みんな?
そっか。うん。みんな待ってんのか。
しょーがねーなー。オレがいなくて寂しんだな?

なあ、ぼろガッコ、お前もそう?

寂しがんなよ。もうちょっと一緒なんだから。

でさ、オレ、大リーガーになったら、お前が百年建ってた場所買って、いっぱい桜を植えてやるよ。
また赤い屋根で黒い壁の学校つくっちゃうのもいいな。
今度は三百年はもっちゃうような頑丈な校舎にしてやるぞ。

したら、みんなで集まって桜の卒業式をやり直そう。
また文香と手を繋いで、仰げば尊しを歌えたらいいな。
なんてさ。だははッ!

同じ学校でも違う学校でももういいや。オレも会いに行けばいいんだ。今の文香みたいに。


うん。よし!

そういうことに決めた。


それまでひと休みしてろ。


とりあえず、いざ、サラバだ。


あんがとな、ガッコ。


オレ、お前が大ッ好きだぞ!




















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