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第8章  はんぶん コルハムの語り ーセタとマッカチー



チマのところへ辿り着けば、ネツに、そして多分汐崎ニシパに会える筈だ。
商売が上手くいったら迎えに行くと言ったあの言葉は嘘ではないように思う。チマを売ると言ったのと同じように。

樺の木の葉の上で会った蓮っ葉な雨垂れが、こんな事を言っていた。

こないだまでアタシャ東の大っきな街にいたんだ。この国で一番金のある街さ。
そこのいっちお高い料理屋のいっちお高い室の窓っぺりでサ、ホンの三日の事だけど、色んな金持ちを見たヨ。
その中にえらいイイ男がいてサ。ちょいと傷だらけなのが文字通り玉に瑕、けどサ、それがまた凄い色気なのサ。まだまだ駆け出しらしくてネ、周りの金持ちに嬲られてたけど答えちゃいない。凄い顔で笑うんだ。ゾクゾクしちゃったヨ。
ありゃあちこちいっぱい泣かせてるヨ。
悪い男だネ。フフッ。

…だそうだ。アイツに間違いない。
相変わらずのウェンペらしい。

そういう訳で、私の話はまだ半分。今はこれで仕舞うしかないが、私はこの話の続きを追っている。諦めるつもりはない。
いつかまた巡り合わせで顔を合わせるときがあれば、そのとき続きを話そう。

コルハムの名と、あのウララのモピリカクンネイワ(静かな良い朝)に誓って約束する。
次にはきっと全てを語って聞かせよう。
セタとマッカチ、ふたつでひとつ、その朱い灯りの顛末を。

あなたたちとの出会いもまた吉兆である事を願って。

スイ ウヌカラ アン ロ、ウタリ
ーまた会おう仲間たちー












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