第15章 その瞳の正体*
「黄瀬君ー!ちょっと来てー!」
「どうしたンすか!?」
「ここに座って!」
シューティングの練習の最中、私は、ふと違和感に気付いた。黄瀬君の足に負担がかかっている、。このまま練習を続けたら痛めてしまう…
「桜っち?どうしたの?」
「テーピングするからバッシュ脱いで!」
黄瀬君の顔がポカンとしていた。きっと自分でも気付いていないんだ…足に負担がかかっている事に。
「俺、怪我してないっスよ?!」
「今はね!でもこれ以上練習すると右足に負担がかかってるから、怪我しやすくなるの!だから今のうちに予防の為!」
こんなに無理したら、体が悲鳴をあげちゃうよ…
「ありがとう。桜っち…こないだ、まりなさんと、ちゃんと話せたんスね。」
まりなと、仲直りした事は、その日のうちに黄瀬君にメールをして伝えていた。でも内容までは話してない。
「うん。黄瀬君のおかげ…本当にありがと。」
黄瀬君に好きって伝えると決めたのに、いまだにまだ切り出せずにいる。告白なんてした事ないから、なんて伝えれば良いんだろう?とりあえず二人きりにならないと無理だ。今度の日曜はオフ…黄瀬君暇かな?
「黄瀬君!」「桜っち!」
喋ろうとしたら声が重なる。黄瀬君に先に話してもらうように促す。
「あっ、黄瀬君の方からどうぞ!」
「えっ〜と!今度の日曜空いてる?」
「空いてるけど…?」
「じゃあ、俺とデートしよ?」
デート?
って!!えぇぇぇぇぇぇ!!!なんで?いきなりそんなデート?!!!確かに、私も、暇か聞こうと思ってたけど…
「プッ!!桜っち、焦りすぎ!言い方が悪かったスかね?どっか出かけない?」
「うん…」
「えっ!マジ!断られかと思ってたっス!じゃあ今度の
日曜ね。あっ!テーピングありがと!」
練習に戻っていく黄瀬君の背中を見つめながらその日の事を考えていると…ふと、声をかけられた。
「神白。ちょっと、良いか?」