第1章 episode.1

「……ちゃん、お姉ちゃん…」


誰だろう、遠くで声がする…。
ここは、無重力みたいにふわふわと心地いいから、もうしばらくそっとしておいて欲しい…。


「お姉ちゃん！」


もう一度身体をゆすられながら聞こえた、今度ははっきりとした声で、はっと目を開ける。


ん？ここは…？

どこ？


まだはっきりとしない意識のまま、ぼうっとあたりを見渡す。
視界もはっきりとしない。


見たことない天井…吹き抜けみたいに高くて、豪華そうな装飾…。


腕に添えられた手、辿っていくと今にも泣きそうな女の子。


何かに怯えてる…？


視線の先に目をやると、そこには口の端から血が滴る男の子。