第16章 痴漢ごっこ カラ松
カラ松視点
今日は、主と電車に揺られながら水族館に行ってきた。
テレビの南極特集に影響を受けたらしく、急にペンギンを見たいとしきりに言ってきたので連れて行ってやったんだ。
オレにとっては、そんな事造作もない。
主が望むのならば、南極まで連れて行き、ありのままたくましく生きるペンギンを見せてやりたいくらいだ。
今日のデートも、オレのエスコートは完璧だったはずだが…
「主、苦しくないか?」
「大丈夫。ありがと」
帰りの電車で通勤ラッシュに遭ってしまった。
ドアの前で窓の外を眺める主を庇うように背後に立つ。
電車がカーブに入ると大きく傾き、主がよろめいた。
後ろから肩を掴み支えてやると…
(こ、これは…)
オレの下半身が主の腰にピタリと密着した。
腰からキューティーヒップにかけて形作られた曲線美が、オレの中心に寄り添うようにくっつき、電車が揺れるたびに何度も押し付けあうように触れ合う。
しかも肩を掴んだはずの手は、何やら柔らかいものを握っている。
握っているというか…揉んでいた…。
急いで胸から手を離す。
(す、すまない!肩と間違えたんだ…)
(うん…平気)
他の乗客がひしめきあっているので、耳元で囁くように会話をした。