第13章 チョロ松の台本 愛のむきだし編
チョロ松視点
主ちゃんを探して町中を走り回った。
彼女の実家にも行ったけれど、留守なようでチャイムを押しても誰も出ない。
二人がデートしたゲーセン、映画館にもいない。
「はぁっ…はぁっ…」
膝に手をつき肩で呼吸をする。
(家にも帰っていないなんて…どこにいるんだ?)
必死にいそうな場所を考えていると、彼女との楽しかった思い出も沢山蘇ってきて、また涙が溢れ出した。
(僕、カッコ悪いな…)
本当はこんな姿、誰にも見られたくない。
ましてや主ちゃんならなおさらだ。
カッコいい男になって主ちゃんに喜んで欲しかっただけなのに、なんで更にカッコ悪くなってしまったんだろう。
そうだ、出会いの時もカッコつけて、偉そうにクソ分厚い本広げて話しかけられるのを待って…。
ん?
出会い…?
そうか…
「スタバァか…!」
確証は無かったけれど、確信はあった。
僕は、二人が運命的な出会いをしたスタバァへ駆け足で向かう。
これが、最後の賭けだった。